満足度の高いスプレッド
予算原則の一つに、「ノン・アフェクタシオンの原則」がある。
アフェクタシオンとは、特定の収入と特定の支出との充当関係をいう。
したがって、「ノン・アフェクタシオンの原則」とは、特定の収入と特定の支出とを結びつけてはならないというものである。
というのも、特定の収入と特定の支出とを結びつけてしまうと、特定の収入が存在する限り、特定の支出を計上しなければならなくなるからである。
そうなると、その支出が計上する必要がなくなったとしても、計上しなければならなくなる。
ガソリン税を道路財源と結びつけてしまえば、全国的に道路の整備が完了したとしても、ガソリン税の収入がある限り、道路を建設しなければならなくなってしまう。
つまり、収入と支出との充当関係の形成は、社会の必要に応じて毎年度予算を編成している、議会の権限を奪ってしまうのである。
目的税をひとたび設定してしまうと、目的財源とされた支出が必要でなくなったにもかかわらず、永久に支出し続けなければならなくなる。
道路建設が必要であれば会計から支出すればよい。
さらに、ガソリン税はこの際、環境税に改革すべきである。
いずれにせよ国家的見地から必要な公共事業は、国家が責任をもって実施すればよい。
地方政府に交付する公共事業に関わる補助金は削減してしまい、中央政府の均衡を目指すべきである。
もっとも、地方財政については、資産負債会計を設置するのは意味がない。
というのも、見合いとなる金融資産を、地方政府が保有しているわけではないからである。
しかし、繰り返すように、財政再建は二つのネットを張るために必要なのであって、その二つのネットを張る基軸的役割は、後に説明するように地方政策が担う。
その交付税特別会計の借り入れは、地方管理分を含め、資産負債会計の負債に含めてしまい、地方政府の債務は可能な限り小さくしておく。
その上で、地方債については借り換えで繋ぎながら、実質上の棚上げを図っていく。
もっとも、地方財政には資産負債会計は設置しないけれども、地方財政の予算制度を二重予算に改革してしまう。
つまり、地方財政の予算を、経常予算と資本予算の二つの予算に分割する。
経常予算には、地方税、交付税、補助金が歳入として入ってくる。
もちろん、経常予算の支出には、経常支出だけが計上される。
資本予算には経常予算の経常収入と経常支出との差額である余剰が、収入として計上される。
資本予算の支出には、資本支出が計上される。
資本予算における資本支出を、資本予算の収入で賄えない時には、地方債を発行せざるをえない。
しかし、地方債の発行は直ちに、経常予算と経常支出の増加となって表れる。
すでに述べたように、地方政府の公共事業は、地方政府の責任と財源で実施される。
そのための公共事業を決定し、管理していくことになる。
そうなれば、公共事業も住民に密着した小規模なものとなり、野放図な地方債の起債はありえない。
もっとも、前述した食い逃げ効果が働くため、起債制限税率を設定しておくことも考え、原則として財政収支の均衡を図っている。
うした消費財の購入は、要素市場つまり労働市場から賃金を獲得することによって可能となる。
もし仮に賃金を喪失すれば、人間の生活に必要な消費財の購入ができなくなってしまい、市場社会では人間の生存が困難に陥る。
そこで正当な理由で賃金を喪失した際に、賃金代替の現金給付を支給されれば、人間の生存に必要な消費財購入が可能となる。
もっとも、市場社会における人間の生活は、消費財を生産物市場から購入しただけでは成立しない。
食材を考えてみればわかるように、生産物市場から購入した食材は、家族内の無償労働によって加工されて初めて消費可能となる。
乳幼児には乳幼児に適しているように、高齢者には高齢者に適しているように、食材は加工され、しかも必要に応じて無償で供給される。
もちろん、家族内で財・サービスが無償で供給されるのは、家族内では財・サービスが無償労働によって供給されるからである。
生産物市場から購入した消費財の加工だけではない。
乳幼児の育児、高齢者の養老にかかわるサービスも、家族内の無償労働によって供給されている。
つまり、家族内では財・サービスが無償で供給される。
無償で供給されるがゆえに、必要に応じて財・サービスを分配することができる。
そのため乳幼児でも高齢者でも、市場社会でも生存していくことが可能となる。
もし仮に、家族内で供給されている財・サービスが、生産物市場から供給されるようになれば、乳幼児や高齢者は直ちに生活不可能となる。
生産物市場では購買力に応じて分配されるからである。
賃金を得ることができない乳幼児や高齢者は、そうなれば座して死を待つしかなくなる。
もちろん、そうした事態になれば、社会は持続不可能となる。
家族機能が縮小して、家族内で供給されていた財・サービスの供給が不足すれば、市場社会でも人間の生存が脅かされる。
逆に家族機能が活発で、家族内で供給される財・サービスのウェイトが高ければ、賃金がわずかで、生産物市場で購入する消費財のウェイトが低くとも、人間は生存できる。
冬の寒さから身を守るセーターも、母親が編んでくれた温もりのあるセーターが供給されていれば、毛糸という原材料のみを購入すればよいので、賃金所得の支出もそれだけ少なくて済む。
もちろん、新品のセーターを購入すれば、賃金所得の支出はそれだけ拡大する。
しかし、家族機能が縮小し、育児や養老などに対する無償労働が減少していけば、それを「協力の政府」としての地方政府ということになる。
つまり、「政府」としての社会保障基金が、賃金代替という現金給付を担う生産の「場」における「協力の政府」だとすれば、地方政府は、無償労働代替という現物給付を担う生活の「場」における「協力の政府」だということになる。
市場社会における人間の生活は、この二つの政府による賃金代替と、無償労働代替によって保障されていくことになる。
とはいえ、社会保障基金による現金給付と地方政府による現物給付からだけでは、市場社会における人間の生活保障までも供給することはできない。
つまり、ミニマム保障によって補完されなければ、自発的協力を基盤にした現、市人間の生活金給付と現物給付だけでは場社会における保障を完結できないのである。
社会保障基金による現金給付は、正当な理由で賃金を喪失した際に給付される、賃金代替である。
したがって、そもそも賃金を獲得できる能力を保有しない者が、賃金を獲得できずにいるとしても、生産に必要な消費財を購入する現金が給付されるわけではない。
さらに、そもそも、生存に必要な消費財を購入するのに十分な賃金を獲得できずにいる者もいる。
あるいは、社会保障基金が給付する賃金代替では、生存に必要な消費財を購入するのに十分ではない。
「三つの政府体系」を確立することによって、国民が安心して子供を産み、子供を育て、安心して老いていくことのできる社会的セーフティ・ネットを張ることができれば、安心して市場経済でアクロバットを演じることにチャレンジすることができる。
もちろん、そうしたアクロバットの演技から新しい産業構造を牽引していく戦略産業が生まれていくことになる。
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